Tiny Edge PC3 なんで3?

Tiny Edge PC3 なんで3?

この記事で紹介している製品

手のひらサイズの超小型ファンレスPC「Tiny Edge PC3」

Tiny Edge PC3 BXC-TNY3

Tiny Edge PC3 なんで3?

手のひらサイズの2モデルをリリースしてきた。

大きめの手にも、小さめの手にも収まる、超コンパクト設計のPCである。
平面サイズは2.5インチのストレージ相当だ。

前モデルのおさらい

Tiny PC1、Tiny PC2としてリリースしてきた。

製品ページはこちら

対外的には、CPUが同じためモデル名称は変更していない。
Tiny PC1とTiny PC2の違いは以下の通り。

メモリ: DDR3 → DDR4
LAN速度: 1Gbps → 2.5Gbps

現在販売中のモデルは第2世代にあたる。
今回、大幅にリフレッシュし、新たに“Edge”を加えた第3世代モデルとしてTiny EdgePC3と命名した。

Tiny PCの不満

Tiny PCは、大きさは良かったが、戦闘能力が落ちてきた。

前モデルの不満点
プロセッサーのパワーに不満がある。
プロセッサーには第8世代、Apollo Lakeシリーズ N3350を採用している。
・N3350:PassMark 1109点

CPU の仕様
・コア数: 2  スレッド数: 2
・バースト周波数:2.40 GHz / ベース動作周波数:1.10 GHz
・キャッシュ:2MB L2
・TDP:6W
一定のパワーはあるが、用途によっては非力に感じる場面も出てきた。

ストレージの問題
「小さいからストレージも小さくていいだろう」
そうして オンボードeMMC 32GB を搭載。
だが、これではWindows Updateすらままならない。
実際に更新ができず、困ったユーザーもいた。

使って不便だな~と思うこと
1.USBが2ポートしかない
キッティング中、キーボードとマウスでポートが埋まる。
ソフトをアップデートしようとUSBメモリを挿そうとしても、もう空きがない。
「ハブどこ~?」となることが多かった。

2.ストレージ交換ができない
・組み込み用途では、ストレージ交換でダウンタイムを削減する運用が一般的。
・しかし、オンボードストレージではPCごと交換するしかない。

3.セキュリティの問題
・運用上、故障したストレージをメーカーに返却できないケースがある。
・正常に動いている間はいいが、故障して起動できなくなると修理もできず、データも取り出せない。
・ストレージが別個なら、運用はもっと簡単だった。

4.LEDの視認性が悪い
・Power LEDが見えにくいという指摘もあった。
・制御盤に入れると、電源が入っているのか分かりにくいと言われることがあった。

Tiny Edge PC3の企画・開発

基板は小型設計で、本来はMB単体企画のワイドレンジ電源対応のはずだった。
しかし、基板面積の制約から12V対応しかできなくなったと、マザーボードチームから泣きの相談が。

ただし、制御盤に組み込むには24V対応が必須。このままでは導入が難しい。

ユーザーからの要望
・バックアップ電池の容量を増やしてほしい
バックアップ電池の寿命は3~4年。ユーザーから「もっと大容量化できないか?」とリクエストが何度も寄せられた。

・COMポートがほしい
「COMがほしい」という声は多い。しかし、開口部の制約を考えると物理的に厳しい。

・I/O設計の見直し
他社製品ではI/Oを裏や上、横に増設するタイプもある。
しかし、DINレール対応の製品では、それは現実的ではない。

また、COMはD-SUB9ピンだが、実際に9本の線をフルで使っているユーザーはほぼいない。
そこで、前面開口部にCOM I/Fを提供することにした。

・3線式小型コネクタの採用
 採用したコネクタ:3線式(RX/TX/GND)
 理由:無手順の通信プロトコルで十分な用途が多いため

これにより、必要十分な機能を確保しつつ、設置性と拡張性のバランスを取った。

前モデルの不満解消のため、2階建ての拡張基板で対応する。

① 電源のワイドレンジ化
12V / 24V 両対応。もちろん自動切り替え。

② ストレージの交換・増設対応
CFASTを採用し、ストレージの交換・増設を可能にする。

③ USBポートの増設
USBポートを3個に増設。これで拡張性アップ。

④ Power LEDの視認性向上
高輝度タイプを採用し、視認性を大幅に向上。

⑤ バックアップ電池の大容量化
10年保証の大容量バッテリーを搭載。

⑥ 3線式COM I/Fを提供
ミニケーブル⇔D-9Pin SUB変換ケーブルも準備。

⑦ 組み込み用スイッチング電源の接続を簡単に
フェニックスコンタクト互換のターミナルブロックを採用。

⑧ ACアダプタ対応
DCジャック⇔ターミナルブロック変換ケーブルも準備。

⑨ CPUパワーを大幅に改善
AlderLake-Nシリーズを採用。

・N3010:PassMark 605点
・N97:PassMark 5684点

⑩ 内蔵メモリを強化
4GB → 8GB に拡張。

⑪ マイコン搭載で起動・USB管理を最適化
・どんな場合でもAC ONで自動起動できるようにする。
・拡張USBは疑似挿抜が可能。

拡張基板で機能実現

金色のへそはなに?

本モデルには天板中央に四角い金色の部分がある。
実はこれは、アクリル塗装処理された銅柱だ。

銅はそのままだと酸化し、10円玉のように茶色く変色する。
しかし、本製品ではアクリル塗装を施し、ピカピカの状態をキープしている。

「高級感を演出するためのデザインか?」
それも全くないわけではない。
だが、本来の目的はCPUの熱を効率よく外部へ伝導させることにある。

銅の熱伝導率は、一般的なアルミに比べ約1.8倍。

金属熱伝導率 W/m・K
429
アルミ237
80

この特性を活かし、CPUからの熱を素早く外へ逃がす構造になっている。

CPUの熱は効率よく銅柱に伝達される。
そのため、CPUの温度と銅柱の表面温度が近くなり、
エアフローの影響はあるが、10~20℃程度の温度差に収まる。

これは設計どおりの結果なのだが…
実際に触れたユーザーからは「熱い!」という声が出ることも

製品化にあたり、CPUの性能を一部制限した状態で出荷している。
ただし、十分な冷却環境があれば、制限を解除することも可能。

CPU性能の調整については、弊社営業まで相談していただきたい

幻のシルバーバージョン
ブラックの高級感があるということで、満場一致でブラックに決定。

更なる要望

これで営業のリクエストをほぼクリアしたと思ったら…

高い!!!

さらに、
「通信機能(LTE / Wi-Fi)が欲しい」
「DIOが欲しい」
「オーディオが欲しい」
と、次々と要望が出てきた。

高いという声に対しては、拡張基板なしのVシリーズ(リリース済み)で対応。
Wi-Fiの要望には、Wシリーズ(リリース済み)を用意した。

ただ、コネクタの拡張はどう考えても無理。

LTE、DIO、オーディオなどの追加機能については、
新モデルを追加することで対応することになる。(現在開発中)

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