Speed Classの概要
設定背景
SDカードを選定する際に注目を受けることのある「Speed Class」。
メーカーやモデルによって性能も異なりますし、そもそもNANDフラッシュメモリを使用しているストレージはデータサイズやアクセス方法によってアクセス性能が変化します。
値が変動する項目に対して統一的なものさしを設定することは難しいです。
しかし数ある製品を選ぶ際に逐一詳細を確認することは現実的ではありません。
そのため製品の比較の“目安”として特定アクセスパターンにおける最低速度保証である規格が設定されました。
Speed Class & Ultra High Speed Grade
SDAで最初に設定された規格です。
当初はデジタルカメラなど、画像データや動画データの保存に使用されるシチュエーションが多かったため、シーケンシャルアクセス性能が重視されていました。
そのため、計測に使用するアクセスパターンはシーケンシャルデータの読み書きです。
Application Performance Class
SDカードの用途が拡大し、スマートフォンやタブレットで使用されるアプリのインストールやアプリデータの保存でのシチュエーションが増えました。
従来の規格ではランダムアクセス性能の表現が対応出来なかったため、新たに規格が設定されました。
計測に使用するアクセスパターンはランダムデータの読み書きです。
Video Speed Class
近年になると、スマートフォンやデジカメで4Kや8Kなどの高解像度動画の撮影が可能になりSDカードに保存されるデータサイズがますます増大しています。
従来の規格では対応できないアクセス性能が求められています。
Video Speed Classは安定した動画記録を行うための規格で、規格に準拠した手順で書き込むことで、安定した動画記録を行うことを目的としています。
動画記録をする前に、書き込みを行う範囲を指定することで、安定した動画記録を実現しています。
SDカード容量とSpeed Class/Speed Mode
低容量のSDカードは、対応しているSpeed Classが異なります。
SDカード容量とSpeed Mode
SDカードにはSpeed Modeと呼ばれる、動作クロックの規定があります。
こちらも同様にSDカード容量により対応している動作モードが異なります。
Speed Mode
SDカードはホスト側が動作モードを設定します。設定により転送速度に⼤きな影響がでます。
設定次第では「UHS-Iで動作しているのに、High Speed Modeより転送速度が遅い」ということも起こり得ます。
データ転送のさらなる⾼速化
規格化の背景
5G通信やWi-Fi 6などの高速通信の普及や、撮影データの高画素化により大容量ファイルの高速な転送が求められるようになっています。
UHS-IIやPCI Expressの新たな規格を採用することで、従来のSDカードよりも高速なデータ転送を実現しています。
差動信号で動作をするために、インターフェイス形状が異なります。
おまけ
Speed Class6 vs Speed Class10 どちらがアクセス性能がいいのか?
SDSCのカードは規格上Speed Class6までしか規定されていません。
しかし動作モードを確認するとHigh Speed Modeまで対応しています。
Speed Class10に対応しているSDHCのカードでも同じHigh Speed Modeで通信をしている場合どちらも、25MB/sが最⼤転送速度になります。
つまり「Speed Class6対応のSDカードは、Speed Class10対応のSDカードと⽐べるとアクセス性能が劣っている」と考えるのは早計です。
以下はSDSCとSDHCのSDカードをベンチマークソフトで計測した結果です。
SDSC(=Speed Class6)のSDカードでもSDHC(Speed Class10)のSDカードと類似の値を得ることができました。
アクセスパターンで性能は⼤きく変わるので、Speed Classは参考値として扱うほうが良いでしょう。
他社商標について
記事中には登録商標マークを明記しておりませんが、記事に掲載されている会社名および製品名等は一般に各社の商標または登録商標です。
記事内容について
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