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おことわり
この記事は、2022年2月にQiitaに投稿した記事を加筆修正したものです。
また、この記事のオリジナルは日本語で書かれています。記事が日本語以外の言語で表示されている場合、それは機械翻訳の結果です。当社は機械翻訳の精度に責任を負いません。
はじめに
前回の記事で、「現在のNANDフラッシュメモリをメディアとするSSDのほとんどは、論理セクタサイズ512バイトで動作する時はエミュレーション動作している」と説明しました。
加えて、「エミュレーション動作よりもネイティブ動作のほうがNANDフラッシュメモリの寿命消費効率が良くなる」と説明しました。
そこで今回の記事では、WindowsとNVMe SSDを例に挙げ、SSDがエミュレーション(512e)動作しているかどうかの確認方法や、ネイティブ(4Kn)動作させる方法(論理セクタサイズの変更方法)を説明します。
なお、SATA SSDでは標準コマンドセットを使用して論理セクタサイズ変更可能な製品を見たことがありません。これはATA Packet Interface (ATAPI)コマンドセットのサポートが必要だからです。このため、この記事ではNVMe SSDを使用します。
まとめ
- Windowsの場合、ドライブの物理・論理セクタサイズは
fsutil
コマンドで確認可能 - NVMe SSDの論理セクタサイズは、
Identify
コマンドで確認が、Format NVM
コマンドで変更が可能
Windowsでのエミュレーション動作確認
ドライブ(SSD)がエミュレーション動作しているかどうかを確認する方法としては、Windowsであればfsutil
コマンドを使う方法[1]が最も簡単です。
具体的には、図1のようにfsutil
コマンドを実行します。この例はWindows 10 Proが動作するPCにおいてNTFSでフォーマットされたSSDの状態を確認したものです。
図1の実行結果のうち、「Bytes Per Sector(セクターあたりのバイト数)」が論理セクタサイズを、「Bytes Per Physical Sector(物理セクタ―あたりのバイト数)」が(ドライブの)物理セクタサイズを示します。
この図1の例のように、論理セクタサイズが512バイトで物理セクタサイズが512バイトではない状態が512eモードです。
MicrosoftのWebページ[1]には、fsutil
コマンドの結果組み合わせ表が掲載されています。表1はその抜粋です。
Bytes Per Sector value (論理セクタサイズ) | Bytes Per Physical Sector value (物理セクタサイズ) | Drive Type (動作モード) |
---|---|---|
4096 | 4096 | 4K native |
512 | 4096 | Advanced Format (also known as 512E) |
512 | 512 | 512-byte native |
fsutil
コマンドの結果からわかるドライブの動作モードNVMe SSDのセクタサイズ設定
ここからは、実機を用いてSSDのセクタサイズ確認や論理セクタサイズ変更を試します。
はじめに説明した通り、実機にはSATA SSDではなくNVMe SSDを使用します。
NVMe SSDの場合、SSDの現在の論理セクタサイズとSSDがサポートする論理セクタサイズはNamespaceにIdentify
コマンドを発行することで確認できます。
以下の例は、私の自作Windowsプログラム[2]を使いあるNVMe SSDのNamespaceにIdentify
コマンドを発行した結果の抜粋です。「★」に続く内容は説明用に追加したコメントです。
[M] Namespace Size (NSZE): 1000215216 (sectors) (中略) [M] Formatted LBA Size (FLBAS): bit [ 4] 0 = All of the metadata is transferred as a separate contiguous buffer of data. bit [ 3: 0] 0 = LBA format is no.0 (LBAF0). ★ 現在のフォーマットは0番 (中略) [M] LBA Format 0 Support (LBAF0): ★ 論理セクタサイズ512バイト(おそらく512e) bit [ 25: 24] 2 = Relative Performance (RP): Good performance bit [ 23: 16] 9 = LBA Data Size (LBADS): 512 bytes / sector bit [ 15: 0] 0 = Metadata Size (MS): 0 bytes [O] LBA Format 1 Support (LBAF1): ★ 論理セクタサイズ4096バイト(おそらく4Kn) bit [ 25: 24] 1 = Relative Performance (RP): Better performance bit [ 23: 16] 12 = LBA Data Size (LBADS): 4096 bytes / sector bit [ 15: 0] 0 = Metadata Size (MS): 0 bytes
この結果からわかることは以下の通りです。
- 現在このNamespaceはフォーマット0 (LBAF0)でフォーマットされている
- このNamespaceは、2つのフォーマット(フォーマット0と1)でフォーマット可能
- フォーマット0 (LBAF0)は論理セクタサイズ512バイト
- フォーマット1 (LBAF1)は論理セクタサイズ4096バイト(=4Kバイト)で、フォーマット0より性能が良い
この”Relative Performance (RP)”という情報は、数字の小さいほうが4KiB QD=32のリード性能において性能が高いことを示します(図2)。
NVMe SSDの論理セクタサイズを4キロバイトに変更する
それでは、このNVMe SSDのNamespaceのフォーマットをフォーマット1に変更、つまり論理セクタサイズを512バイトから4キロバイトに変えてみます。
注意:Format NVMコマンドを発行するとそのNamespaceに書き込まれていたデータが読めなくなる可能性がありますので、実行の際は十分に注意してください
NVMe SSDの論理セクタサイズ変更にはフォーマット変更が必要ですので、Format NVMコマンドを使用します。
なお、NVMe仕様[3]においてFormat NVMコマンドはオプションですので、お使いのNVMe SSDがFormat NVMコマンドに対応しているかどうか確認が必要です。
また残念ながら、Windowsの標準NVMeデバイスドライバを使う場合、WinPEモードでしかこの処理(=フォーマットを指定したFormat NVMコマンドの発行)ができません。
このため、論理セクタサイズの変更はLinuxのnvme-cli
パッケージに含まれるnvme
コマンドを使いました。
nvme
コマンドを使用したFormat NVM
コマンドの発行は非常に簡単です。
以下は、先ほどのNVMe SSD (/dev/nvme0
)に対して、「Namespace 1をフォーマット1(=論理セクタサイズ4096バイト)でフォーマットする」ことを指示した様子です。
-l 1で「フォーマット1」を指定し(注:アルファベット小文字のエル)、コマンド発行対象としてSSD自体を示す/dev/nvme0
にIDが1のNamespaceを示すn1を付け加えた/dev/nvme0n1
を指定します。
ubuntu@ubuntu:~/Desktop$ sudo nvme format -l 1 /dev/nvme0n1 Success formatting namespace:1
この表示が出力されればフォーマット変更成功です。コマンド処理完了までにかかる時間は製品により変わる可能性があります。
実際にフォーマット1でフォーマットされたのかどうかを、Namespace 1を対象にIdentify
コマンドを発行して確認すると、下記のようになりました。
ubuntu@ubuntu:~/Desktop$ sudo nvme id-ns -H /dev/nvme0n1 NVME Identify Namespace 1: (中略) flbas : 0x1 [4:4] : 0 Metadata Transferred in Separate Contiguous Buffer [3:0] : 0x1 Current LBA Format Selected (中略) LBA Format 0 : Metadata Size: 0 bytes - Data Size: 512 bytes - Relative Performance: 0x2 Good LBA Format 1 : Metadata Size: 0 bytes - Data Size: 4096 bytes - Relative Performance: 0x1 Better (in use)
”Current LBA Format Selected”が1つまり「フォーマット1」と表示され、”LBA Format 1″の部分にも「現在使用中(in use)」と表示されています。
これで、論理セクタサイズ4キロバイトでのフォーマットが完了です。
論理セクタサイズ4キロバイトのSSDにWindows 10をインストール
SSDのフォーマット変更だけではつまらないので、論理セクタサイズを4キロバイトに設定したSSDに図1と同じWindows 10をインストールしてみました。
インストールは問題なく完了、そこで再度fsutil
コマンドで論理セクタサイズと物理セクタサイズの状態を確認しました(図3)。
図3の通り、論理セクタサイズを示す「セクターあたりのバイト数」の部分が4096バイトと表示されていて、システムとして4Kネイティブ(4Kn)モードで動作していることがわかります。
おわりに
今回の記事では、WindowsとNVMe SSDを例に挙げ、SSDがエミュレーション(512e)動作しているかどうかの確認方法と、ネイティブ(4Kn)動作させる方法(論理セクタサイズの変更方法)を説明しました。
現在入手可能なSSDをWindowsで使用すると、デフォルトでは512eモードで動作することが多いです。しかし、SSDの寿命やシステム全体の最適化を考えると、4Knモードで動作させたほうがより良いと考えられます。
References
[1] Microsoft, “Microsoft support policy for 4K sector hard drives in Windows“, 2024年3月18日閲覧
[2] ken-yossy / nvmetool-win
[3] NVM Express, “NVM Express Base Specification”, Revision 1.4b, September 21, 2020
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