使用環境による製品期待寿命の変化について │ HAGIWARA Solutions

この記事で紹介している製品

製品の期待寿命という考え方があるのはご存じの方も多いかと思います。

半導体などは、メーカーに確認するとFIT値（製品の故障率）が出てくるのですが、これを使って算出されたものがMTBF（平均故障率）となるのに対し、期待寿命は、部品の劣化などの寿命を実際の温度や使用環境で算出された想定寿命となります。

製品における有寿命品にはいくつかございますが、マザーボードに採用される部品では、FANなどの稼働部品とアルミ電解コンデンサなど（導電性高分子系コンデンサ含む）があり、それらは使用する環境によって想定される寿命に大きく影響してくる部品となります。

今回紹介するMBC-EHL6Aはファンレスのマザーボードですので、導電性高分子コンデンサが製品の期待寿命に大きく関わってきます。

製品の開発時には、コンデンサのメーカーHPなどに部品の寿命計算に関するデータが入手できるので、これらを元に実際に動作させた時の温度を計測して製品の期待寿命を算出します。

この記事では、使用環境による製品期待寿命の変化について記載いたします。

＜試験条件＞

熱電対を接続して各パーツの表面温度を計測します。

今回のターゲットは、24時間365日稼働（CPU負荷率100%）かつ 65℃環境 での期待寿命を算出してみました。

No	容量	コンデンサ特性		使用電圧		部品温度	期待寿命（Hrs）
No	容量	TO(℃)	LO(Hrs)	Vo(V)	Vn(V)	部品温度	期待寿命（Year）
1	330uF	105	2000	2.5	1.2	77.4	198,639.15
1	330uF	105	2000	2.5	1.2	77.4	22.68
2	330uF	105	2000	6.3	1.05	76.2	1,088,645.48
2	330uF	105	2000	6.3	1.05	76.2	124.27
3	100uF	105	2000	6.3	5	74.4	48,413.21
3	100uF	105	2000	6.3	5	74.4	5.53
4	100uF	105	2000	6.3	3.3	73.9	201,918.34
4	100uF	105	2000	6.3	3.3	73.9	23.05
5	100uF	105	2000	10	5	70.2	195,089.24
5	100uF	105	2000	10	5	70.2	33.69
6	100uF	105	2000	10	5	68.7	327,422.02
6	100uF	105	2000	10	5	68.7	37.38
7	220uF	105	2000	6.3	5	75.0	46,441.05
7	220uF	105	2000	6.3	5	75.0	5.30
8	220uF	105	2000	6.3	5	74.6	47,746.69
8	220uF	105	2000	6.3	5	74.6	5.45
9	220uF	105	2000	6.3	5	75.2	45,801.69
9	220uF	105	2000	6.3	5	75.2	5.23
10	220uF	105	2000	6.3	5	74.8	47,089.35
10	220uF	105	2000	6.3	5	74.8	5.38

実使用環境が変わると、寿命の期待値が変わります。24時間365日稼働（CPU負荷率100%）は変えずに 40℃環境 にした場合の期待寿命は以下のようになります。

No	容量	コンデンサ特性		使用電圧		部品温度	期待寿命（Hrs）
No	容量	TO(℃)	LO(Hrs)	Vo(V)	Vn(V)	部品温度	期待寿命（Year）
1	330uF	105	2000	2.5	1.2	52.4	378,565.9
1	330uF	105	2000	2.5	1.2	52.4	43.21
2	330uF	105	2000	6.3	1.05	51.2	2,033,650.0
2	330uF	105	2000	6.3	1.05	51.2	232.15
3	100uF	105	2000	6.3	5	49.4	87,966.5
3	100uF	105	2000	6.3	5	49.4	10.0
4	100uF	105	2000	6.3	3.3	48.9	364,232.1
4	100uF	105	2000	6.3	3.3	48.9	41.58
5	100uF	105	2000	10	5	45.2	507,078.6
5	100uF	105	2000	10	5	45.2	57.89
6	100uF	105	2000	10	5	68.7	552,919.3
6	100uF	105	2000	10	5	68.7	63.12
7	220uF	105	2000	6.3	5	50.0	85,141.9
7	220uF	105	2000	6.3	5	50.0	9.72
8	220uF	105	2000	6.3	5	49.6	87,012.1
8	220uF	105	2000	6.3	5	49.6	9.94
9	220uF	105	2000	6.3	5	50.5	84,225.9
9	220uF	105	2000	6.3	5	50.5	9.61
10	220uF	105	2000	6.3	5	49.8	86,070.6
10	220uF	105	2000	6.3	5	49.8	9.83

寿命予測が長くても、それがそのまま期待値というわけではありません。
メーカーによっては、推定寿命最大15年としているところが多いようです。

温度による比較グラフ（抜粋）

使用環境によって期待寿命は大きく変わってきます。実際にご使用されている環境に照らし合わせてメンテナンス時期など、検討する上での参考になれば幸いです。

弊社では評価用に、製品の貸出サービスも行っております。
是非お問い合わせや、貸出依頼をいただければと思います。

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