この記事で紹介している製品
WAF比較実験
概要
前回より続いて、WAFについての解説です。
「SSDに対するアクセスパターンによってWAFは大きく変化する」とご説明しましたが実際にどの程度WAFに差異があるか、検証してみました。
実験目的
同一SSDに対して異なるアクセスパターンを用い以下の検証を行ってみました。
①WAFの比較
②得られたWAFをもとにしたTBWの比較
③得られたTBWをもとにしたDWPDの比較
環境
実験を行うにあたって下記のような試験環境を準備しました。
基準とするJEDECクライアントワークロードでは「特定アクセスパターンを5サイクルする」となっているので比較するその他のアクセスパターンでは、「容量分の書き込みを5サイクルする」と設定しています。
※②③については、SSDを定常状態にするため予め一定量の書き込みを行います。
アクセス条件:
①JEDECクライアントワークロード
②対象SSDの全容量*5cycle(4Kbyteのデータをシーケンシャルな書き込み)
③対象SSDの全容量*5cycle(512Byte ~ 4Kbyte のデータをランダムな書き込み)
実験結果
結果考察
今回の実験で、以下のような結果が得られました。
- Sequentialアクセスについては、『ホストがSSDに書き込みを行った総セクタ数』と『NANDに書き込みを行った総セクタ数』の両者の値があまり離れていないことからWAFの値が1に近く、非常に効率の良い書き込みが行えていることが伺えます。
- Randomアクセスは『NANDに書き込みを行った総セクタ数』が非常に多く、WAFが大きいことから、非常に効率の悪い書き込みがおこなわれています。
- JEDECクライアントワークロードについては「ホストがSSDに書き込みを行った総セクタ数」が多いですがWAFが良い結果が得られたので、Sequentialアクセスの割合が高いと考えられます。
TBWと寿命を計算してみる
計算式
今回結果として得られたWAFを使ってTBWとDWPDを計算してみます。
条件は下記の通りです。
製品容量 :240GB
製品書き換え保証回数:3,000回 / ブロック
製品無償保証期間 :製品出荷日より1年(365日)
TBD計算式 :TBW = デバイス容量 × 書き換え保証数 ÷ WAF
DWPD計算式 :DWPD = TBW ÷ (デバイス容量 × 製品保証日数)
この様にTBWやDWPDなど「寿命の物差し」とされているものは、アクセスパターンにより大きく変化します。従ってこのような情報はあくまでも目安として取り扱い、実際のデータをもとにシステム設計を行うことが必要です。
おまけ
寿命診断サービス
当社製品で実稼働した結果をご連絡いただければ、寿命予測診断書の発行サービスを行っています。
ぜひこちらのサービスをご活用ください!!
他社商標について
記事中には登録商標マークを明記しておりませんが、記事に掲載されている会社名および製品名等は一般に各社の商標または登録商標です。
記事内容について
この記事の内容は、発表当時の情報です。予告なく変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。