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最初に
NANDFlash Memoryのラインナップ・動作モードについて
NAND Flash Memory(NAND)とは電源に接続していない時でも、書き込みを行ったデータを保存することのできる不揮発性メモリです。上記の特性からSSD、SDカード、USBメモリなど様々なストレージにNANDが使用されています。
またNANDは複数の種類、動作モードがあり、それぞれ信頼性(データ保持力)・コスト・容量などが異なります。
以下にイメージを示します。
NAND | 1セルの容量 | 信頼性 | 書換回数 | コストメリット | 最大容量 |
---|---|---|---|---|---|
SLC | 1bit | ★★★ | ★★★ | ★ | ★ |
MLC | 2bit | ★★ | ★★ | ★★ | ★★ |
TLC | 3bit | ★ | ★ | ★★★ | ★★★ |
比較
SLC vs TLC
SLC NANDは1セルに対して1bitのデータを、TLC NANDは1セルに対して3bitのデータを保存することができます。つまり、1つの物理セルに対してTLC NANDはSLC NANDの3倍のデータ量を保存することが可能です。
コストと容量を考えた場合「TLC NANDは大きい容量を確保可能、かつコストも他ラインナップと比べると低い」と考えることが可能です。
しかし「保存されているデータの信頼性という指標を加えるとまた別の考え方が可能です。
NANDのデータは、セルの中にチャージされている電荷量でデータを判別しています。
例としてセル内にデータを保存する状況を、容器の水を注ぐことに置き換えて考えてみます。
SLCは多少の変動があっても水を格納する部屋が大きいため、多少の変動があっても判別されます。
一方でTLCは部屋が小さいため、少量の水の増減で他の値として判別されてしまいます。
TLCはSLCと比較して、変化に対してシビアであるといえます。
しかしTLCでも、SLC並みに信頼性を持たせる方法があります。
SLCモードとは
SLCモード
SLCモード(SLC mode)は、疑似SLC(Pseudo SLC)とも呼ばれ、セル内に多値のbitを保存できる、MLCやTLCのNANDをSLCとして使用する技術のことです。
この技術を使うことで、前述した信頼性を向上させることが可能です。
製品を制御するファームウェアで、NANDに保持されているデータを判別するためのしきい値を変更します。
この技術を使うことで、前述した信頼性を向上させることが可能です。
SLCモードを採用いただくことで、大容量が得意なTLC NANDを使って、SLC NANDと同等のデータ信頼性を得ることができます。3bit→1bitとデータ容量は減りますが、「データ信頼性も必要だけど、製品コストを追求しなければいけない・・・」といった昨今の製品開発に最適な製品と言えます。
他社商標について
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記事内容について
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